XX 審判
死者たちが天使のラッパで復活を遂げています。より高い次元に蘇っている姿です。このカードは再生を意味し、より高い次元の新たな世界で生きる事が許された状況でもあります。もはや古くなった過去の自分は潔く捨て去り、柔軟に次のステップに軸足を移していくべき時が来たようです。
『タロットカード78枚意味と解釈』
審判(Judgement)より抜粋
タロット・ヴィジュアライズ・アート『XX 審判』

2023年 シナベニヤに石膏 テンペラ
22.7×15.8cm
カードの意味
報われる、救い、復活、正しき行いの結実
自分の信じる正しい道を突き進む強さが欲しい方、
霊的な存在にいつも見守られていたい方、
神様のご加護を感じていたい方におすすめです。
天使ガブリエル(神の人)
神の御心を伝える神の伝達者といわれる天使
『受胎告知』の中で処女マリアにキリストを妊娠した事を告げるのが
天使ガブリエルであり、マリアがそれを受け入れる場面を描いたもの

フラ・アンジェリコ 『受胎告知』
魅力溢れる題材 天使

絵画作品のモチーフとしては天使ガブリエルの受胎告知はとても魅力ある題材です。天使の存在は広く信じられていて、キリスト教徒のみならず、羽根が生えた神の使者というのは描いてみたくなる魅力溢れる存在です。タロットの審判のカードは死者の復活を告げる第七のラッパを吹く天使のことですがガブリエルかどうかは諸説ありそうですね。その辺りは詳細がわからないので間違っていたらすみません。
(画像はピントゥリッキオ『受胎告知』天使ガブリエル)
地上のあらゆる宗教の願望
俺は、やがて鹿がライオンの脇に寝そべるようになる日や、
斬り殺された人間が起き上がって、自分を殺したやつと抱擁するところを、
この目で見たいんだよ。
何のためにすべてがこんなふうになっていたかを、
突然みんながさとるとき、俺はその場に居合わせたい。
地上のあらゆる宗教はこの願望の上に創造されているんだし、
俺もそれを信じている。
ドストエフスキー
『カラマーゾフの兄弟』
最後の審判
世界は神によって最後の審判に向けて動かされていると多くの人々が信じている。
地上のあらゆる宗教の願望である正しき者たちの復活、赦しあう世界が実現する日が来るのだろうか。
人々が望んでいる究極の姿とは
正しき者が復活し、悪しき者には裁きを下す
『最後の審判』として描かれるくらいですから人々の根幹にはこの願いが究極の姿として脈々と流れているということでしょうか。
ただ、何が正しくて何が悪いかの判断を下すのは極めて難易度が高い。神の裁きは受ける覚悟はあるけれど、恣意性に満ちた人間の意志による勝手気ままな裁きは容認はできないはず。仮にそれが時の権力者によるものであっても勝手気ままな判断で罰を与えるなら『最後の審判』に寄せる人々の願いを否定するものでしかない。さらに誰にもバレないようにこっそり自分に不都合な存在を消し去るのは愚の骨頂ですが、これは往々にして現実の世界にも見られる光景です。
そのような愚劣さを目にすればするほど
人々が『最後の審判』を望む気持ちが強くなっていくのでしょうし、つまるところ自分の力を悪用して他者を退けたり傷つけたりする愚行を重ねる人間の所業が増えれば増えるほどに『最後の審判』に対する潜在的需要が高まってしまい、集合的無意識として膨らんでいった時に災害が起こるという定型パターンに陥るといったところでしょうか。
これもまた、カルマの世界でもありますね。
『審判』を望む前にまず、カルマを減らす事に意識を向ける方がおそらく手っ取り早そうです。
まず悪業を減らす事、ここが第一歩なのかもしれません。