XIV 塔
塔に落雷、そして塔から人が落ちています。予想していなかった突然の出来事です。でもこのような突発的な事に巻き込まれる事があるのもまた世の中の理でもあります。多くの場合そのような予期せぬトラブルとして解釈されることが多いカードです。いわゆる逆位置であっても意味が反対になったり弱まったりという事もあまりなく、これが出た時は少々戸惑いを一瞬覚える事もあります。
『タロットカード78枚意味と解釈』
塔(The Tower)より抜粋
タロット・ヴィジュアライズ・アート『XVI 塔』 タロットで一番不吉な予感を漂わせているのがこの塔のカードです。流派によっては神々の分配を授かるためのプロセスとしてポジティブな解釈もできますのでこれが出た時は神の裁きを甘んじて受け入れ深く心と態度を一新していくことで運が上昇すると考えられます。一説によるとバビルの塔の考え方で解釈することがあるようです。おごり高ぶった人間を戒める神の目線を感じさせるカードです。
タロット・ヴィジュアライズ・アート『XVI 塔』

2023年 シナベニヤに石膏 テンペラ
22.7×15.8cm
↑突発的な事故などを避けられるように
前面に天使の祈りを描くことで
厄除けカードとして制作しました。
自然災害や突発的な事故から身を守り
天使にいつも守られていますように。
傲慢さや自信過剰が破滅的な結果を招く
ギリシャ神話に登場するイカロスの翼
人間が生み出した技術への過信を戒める意味もある
タロットの塔のカードはよくバベルの塔にもなぞらえて語られます。
「さあ、町
と塔
とを建
てて、その頂
を天
に届
かせよう。
そしてわれわれは名
を上
げて、全
地
のおもてに散
るのを免
れよう」
(創世記11章4節)

バベルの塔 (ブリューゲル)
創世記11章によるとその後神は人々の言語を違わせて理解し合えないように促し、
人々がまとまりを欠いていくことでその街の人々は塔の建設をやめて
あちこちに散らばっていった、ということです。
・あまり奢って目立ったことをするな
・まとまり過ぎると散らされる
・言葉の理解を遮ることでまとまりを解く
といったところでしょうか。
このような世界観もあるということを知ることは知識として大切ですね。
『カラマーゾフの兄弟』の次男イワンは無神論的な思考を持っているが
このような言葉を見ると、神さまに流した子供の涙に対する畏敬の念のようなものが感じ取れる。
神に近づくためのさまざまな”作法”や”教義”に対する不信はあれど子供の涙に神(以上)のものが宿っている事を悟っている印象。
これがなければ人間はこの地上に生きてゆくことができない、なぜなら善悪を認識することができなくなるだろうから、なんていう連中もいるがね。いったい何のために、これほどの値を払ってまで、そんなくだらない善悪を知らにゃならないんだ。大体、認識の世界を全部ひっくるめたって、《神さま》に流したこの子供の涙ほどの値打ちなんぞありゃしないんだからな。
『カラマーゾフの兄弟』
日本の八百万の神々という考え方は至るところに神が宿る、ということなので
子供の涙にも神が宿るということにもなり、
八百万の神の考え方ならイワンは無神論者とはいえないのかもしれない。
神の所業は受け入れる
自然災害はじめ災難についてはそれが神の所業である限り受け入れる覚悟はあれど
人間の手によって意図的に起こされた災難を受け入れることは難しい。
それは神の所業ではなく悪魔の所業だから。
子供の涙が美しいからもっと見たいといって、わざと子供を泣かせるならそれは悪魔的視界に過ぎない。
塔のカードは果たして神の所業か、それとも悪魔の仕業なのか。
どちらのカードを引くか、自分の心にかかっている。