タロットアートで世界を探求する セレスティアルスペース

旅について

旅について
せっかくなので旅の話をしようじゃないか。



午前成田発のエールフランス航空の便で

久しぶりに旅へ。


パリのシャルル・ドゴール空港を経由して

ミニストロ・ピスタリーニ空港へ。

ブエノスアイレス。

まったく未知のこの都市で

一体どのような事に遭遇するのだろう。


期待よりむしろ不安の方が大きく

発作的ともいえるようなフライト予約をしてしまった自分に驚きを禁じ得ず。

でも、もう遅い。

クリックしてしまったし、予約完了メールまで到着しているのだから。 



なぜ、この場所を行先に選んだのだろう。

それは、単なる、イメージ、私の中に知らない間に育まれていた奇妙な、

そして心がぎゅっと締め付けられるような郷愁、

訪れたこともないこの場所に感じるとてつもない愛おしい想い、

それが何なのかを知りたくて

明確な理由もわからぬまま

この場所を旅先に選んでしまっていた。





アストル・ピアゾラ。

『ブエノスアイレスの冬』




訪れたこの街そのものの曲。

この曲はブエノスアイレスをまさしくズバリと言い表していたといってもいい。

南米のパリとも評されるこの街は

ヨーロッパ風の建築とモダンな都市景観、

そしてさらにもう少し歩いていくと

やがて南米の下町風の街並みにも出会える

そんな両極を味わえる素敵な所だった。

訪れてすぐ、私はこの街が好きになるのを感じ、そして魅了されていった。



ぜひとも訪れたかったのが

やはり定番イメージでもあるアルゼンチンタンゴ。

ショーが見られる場所を探して

哀しい音色と生への渇望が感じられる音楽を聞きながら

その情熱的なダンスを見てみたかったのだ。


そしてシーズン中ならぜひとも一度、サッカーの試合観戦もしたかったが

こちらはうまく日程が合わず、残念ながらかなわなかった。

観光名所でもある「イグアスの滝」も訪れようと思っていたが

正直なところ、それはあくまでも有名な観光スポットを手順に添って押さえておくか、

といった作法的なものであり

今の私は断然、アルゼンチンのクラシカルな生演奏のタンゴを堪能することに意識が向いていた。

最初に訪れたのがタンゴ・ポルテーニョ。

アールデコ調の劇場。

まずはそこでショーを見て

その後、いくつものタンゴショーを毎晩見て回った。


ブエノスアイレスの昼を、結果的には何も知らない状況になってしまった。

カラフルな建物や

欧風の豪華な建築物を数多く目にしたはずだが

なぜか意識はそこに合わず

頭の中に繰り返し鳴り続けるピアゾラの音色。



夜な夜な続くタンゴ・ミュージック巡りと慣れないアルコールのせいか

或いは長時間のフライトで時差による感覚麻痺も相まってか

頭の中を反響する切ない音色は

時として私の涙腺をも刺激してきた。

それのみならず、胸が苦しくなるような、締め付けられるような感覚。



他の都市同様、道を行き交う人々は陽気で楽し気なのに

ブエノスアイレスは私にとって

どうしても拭い去れない

哀しみが自分の中に

奥深くに沈殿したまま残留していたことを思い起こさせる

優しくて

そして残酷な街となってしまった。


私にとって生涯、忘れることがないであろう

この街との出会い。

これを旅の醍醐味と呼ぶべきなのか。。。


人生の彩を感じる

そんなブエノスアイレスでの滞在は

過去に例のない

極めて情緒的なものに彩られた愛おしく狂おしいものになった。

この珠玉の宝石を

生涯抱え続ける幸運を噛みしめて。



・・・ま、今回訪れたのはイタリアのフィレンツェなので、

アルゼンチン行ったことないんだけどね。





※この物語は妄想に基づいたフィクションです。


ピアゾラの曲でも聞いてご機嫌を直してください。



うーん冗談抜きで『ブエノスアイレスの冬』は

切なくて12月の日本、この暗さを一番感じる時期に聞くと堪えるものがありますね。

だから好きなんだけど!



↓こちらはピアゾラ『アディオス・ノニーノ』







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