XV 悪魔

悪魔のカードです。こちらも死神のカード同様、怖がられるカードのひとつですが、タロットの悪魔はまた少々そのような恐ろしいイメージとは違います。誘惑や欲望を暗示するカードであり、怖いと言えば怖いのですが一方でとても魅力的なものでもあるため、それに抗えなくなるという意味においての怖さがあるカードです。とはいえそのような悪魔的魅力に人は往々にして知らず知らずの間に隷属してしまいます。


タロットカード78枚意味と解釈
悪魔(The_Devil)より抜粋

タロット・ヴィジュアライズ・アート『XV 悪魔』

2023年 シナベニヤに石膏 テンペラ
22.7×15.8cm
 
カードの意味
利益、甘い誘惑、堕落、欲望、中毒、繋がりに縛られる、
 
ビジネスにおいて利益を出したい方、
繋がりの中で行動することで得られるメリットが欲しい方、
お酒が好きで楽しみたい方、
欲望に忠実に生きたい、または反対にそれを戒めたい方におすすめです。

わずかな気の緩みが転落への契機に

いつのまにかこんな事に・・・こんな風に思ったことありませんか。
悪魔のささやきはいつでも甘く巧妙です。
実は地獄への入り口は至る所に張り巡らされているのかもしれません。

私の愛は、私自身と同様に底浅いものであり、あなたは不幸になる。
自身の大地とのつながりを失った者は、自身の神をも失う、つまり、自身の目的のすべてを失うという。

(↓つづき)
”何事につけても際限なく議論することはできるけれど、私の内部から流れ出たものは、なんらのおおらかさも、なんらの力ももたないたんなる否定のみでしかなかったのだ。否定すら流れ出なかったと言えよう。いっさいが常に底浅く、生気がない。心広いキリーロフは、思想を持ちきれずに、ピストル自殺してしまった。しかし、私の見るところ、彼が心広かったのは、健全な理性を失っていたからだと思う。私はけっして理性を失うことができないし、彼ほどに思想を信じることもできない。私はそこまで思想に関心をいだくことさえできない。けっして、けっして私はピストル自殺などできはしない!”

by ドストエフスキー『悪霊』  スタブローギン

悪魔にもいろいろいるようで、この『悪霊』の悪魔性は「どのような悪事に手を染めようとも何も感じない、むしろそれを楽しんでいる」という類のものです。上記のセリフから見て取れるのは、思想を信じきれずにピストル自殺をした仲間は健全な理性を持つことができなかったがゆえに心が広い=神の御心を離れた姿であることが伺えるし、そして本人は理性を失うことができない=情動の欠如した人間らしくない姿、つまりこれもまた神の御心を離れた姿に他ならない。さらに本人は思想に関心を抱くことさえなく、神はおろか結局何に対しても心を開くことが無いという悪魔性に落ち込んでいる。

そして呟く。
”自身の大地とのつながりを失った者は、自身の神をも失う、つまり、自身の目的のすべてを失う”

・・・自身の目的のすべてを失った後は
人は享楽に耽ったり、底意地悪く他人に嫌がらせをして楽しんだり、なんらかの思想集団を動かそうとも
結局、何ひとつ満足しうることなくその人生を無為に空費して終わるということになる。

でも、これ、どこかで見たことがあるような気もする。
我々の今日は、程度の差こそあれ、実は娯楽と集団による狂気に満ち満ちているのかも、しれない。

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