人間の本性のもっとも強烈な感情や行動のうちの多くは、われわれがこの地上にいる間は理解しえないものである 人間の本性のもっとも強烈な感情や行動のうちの多くは、われわれがこの地上にいる間は理解しえないものである

XIV　節制

羽根の生えた天使がバランスを取りながら注意深く水を注いでいます。男性でも女性でもなく、人間でも神でもない存在でもある天使は、いずれにも属さない中立性を暗示する存在です。両方の狭間でバランスを上手に取りながら
それぞれの調和をもたらすよう常に配慮を続けています。

『タロットカード７８枚意味と解釈』
節制（Temperance）より抜粋

タロット・ヴィジュアライズ・アート『XIV　節制』

人間界と天使界を繋ぐ存在

二つの入れ物を上手に扱いながら水を丁寧に移し替えている天使の姿です。ふたつのものをバランスよく使いこなして調和を維持しています。このようなバランサー的存在はどこにいても重宝される存在です。このように裏から調整を上手に取り持ってくれる者がいるだけでなぜかその場はとてもスムーズに事が運び、幸運なサイクルに乗って運気を上昇させていくことができます。人と人を繋ぎ、事情と事情を調停し、地上と天界を行き来してそれぞれのメッセージを交換します。いつでもこのように影から支えてくれるありがたい存在によって私たちはいつでも守られているのかもしれません。

偏りは弱さを曝け出す

この天使のようにいつでもバランスを上手く取っていずれか一方に偏ることのないように気をつけておきたいものです。ひとつの事に集中するのはとても大切ですし集中することによって得られる成果やパワーは想像を超えるものに到達する可能性を秘めるがゆえ、一点集中突破の貴重さが重要視されるのは当然といえます。ですが、何事もそれ一本では万が一失敗した場合にリカバリが効きません。いずれか一方に偏重するのではなく、いずれに対しても対応できるだけの最低限の柔軟性は維持しておくことが望ましい、そんなメッセージを表現しているのがこの『節制』のカードであるといえるでしょう。仮に物事が上手く進まず失敗しても、それは経験値となって積み上げられるので基本的には心配不要ではありますが、失敗と認識した時の自分自身への心のダメージを最小限に食い止めて可能な限り軽やかに次のステップに意識を向けて前に進めるように、やはり軸足は両方にかけて体制を維持しつつバランスをとっていくことが必要であることをこのカードは教えてくれているようです。

神秘的な貴い感情が与えられている

「神秘的な他の世界と接触しているという感情によって生き、溌剌としている」という記述は、とても重要な部分だと感じますが、なぜなら、その神秘的なものを胡散臭いかのように取り扱っているのが現代なので、それゆえ多くの人が心を枯渇させて病んでいってるように思えるからです。「その代わりわれわれには、他の世界、天上の至高の世界と生きたつながりを有しているという、神秘的な貴い感情が与えられている」というのもとても気持ちが救われる表現ですね。日々目の前の事にしか意識を向けられない状況が続くとなかなか他の世界などには到底気持ちが向かないかもしれませんが、ほんの少し想像力に起動をかけるだけでいつでもこの世以外の世界が自分の内に立ち上がってくるものです。そしてそれは神秘的なものであり、さらに貴い感情であり、それを慈しむ心があれば決して枯渇して渇きに繋がることはないはずです。

やはり天上の至高の世界が存在するという思いがあるだけでそれ自体が救いになりますね。ありがたいことです。そういう意味で宗教心はやはり人が精神性を大切に育む上でとても大切な事であるといえるでしょう。

地上と天上の至高の世界のバランスを取る

節制のカードはその天上の至高の世界からの使者である天使の存在を匂わせています。

そのような貴い存在が地上に様々な教えを伝えてくれているならそれを享受しない手はあり得ません。ありがたい手ほどきをじゃんじゃん受け取っちゃいましょう、と言いたくなりますが、受け取るかどうか、は人間の状態によるので場合によっては一切、キャッチできていないかも、しれません。勿体ない。。。

いつでも天のメッセージに柔軟に対応できるように心身を整えておきたいものですね。

地上と天上の至高の世界を行ったり来たり、そんな離れ業を身に着けて
それぞれの世界をバランスを取りながら生きていくことで自分自身の魂の成長に繋げていける、
そんな謙虚な気持ちを維持することを節制のカードは教えてくれているのかもしれません。